かなな著
・・・芽生が席を外した瞬間だった。
ふいに優斗がつぶやいてくる。
「義兄さんは、芽生をマジで女として見ていますよね。
そして芽生の視線も兄を見る瞳じゃない。」
ふいに漏らした優斗の言葉に、翔太の動きが止まる。
優斗は静かな瞳で、ジッと翔太を見つめていた。
感情の見えない顔色。
「見ればみるほど不思議に思うんですよ。
本当の二人の関係は、どうなっているんですか?
腹違いの兄妹だなんて、二人の視線を見てると、とても信じられないんですがね。」
言葉を続ける優斗の視線が、これ以上ないくらいに鋭かった。
翔太の目が細まってゆく。
完
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